

屋根

鈴木様邸の屋根材は「亜鉛メッキ鋼板屋根、通称トタン屋根」でした。近年主流のガルバリウム鋼板屋根はトタン屋根にアルミ合金を加えたものになるので、やはりひと昔前の屋根材が使用されていることになります。
屋根材や雪止めに錆が発生しはじめています。
手で屋根材をこすると、錆汚れがべったりと付着します。屋根材のメッキや保護成分の機能が失われている証拠です。
現在はまだ致命傷とまではなっていませんが、このままメンテナンスを行わず放置し続けた場合、錆や腐食が広範囲まで拡大してしまいます。
上の写真は、鈴木様邸と同じトタン屋根の劣化が大幅に進行してしまった状態のものです。こうなってしまうと、もはや塗装では屋根の修復・保護は不可能になります。

庇(ひさし)

見ての通り、既に錆がかなりの範囲に拡大してしまっています。劣化が進み庇の金属材がめくれたり穴が開いてしまうのも時間の問題と言えるでしょう

外壁

鈴木様邸で使用されている外壁材は「亜鉛メッキ鋼板の金属サイディング」になります。エンボス加工(でこぼこの表面が施された加工)が特徴の「トーホー7.5(ナナハン)サイディング」という名称の材料が使用されていますね。
塗装を行う場合は、金属サイディングのため水性・油性の性質の違いにより、油性塗料での塗装が推奨されます。
一見目立った劣化は確認できませんが…
外壁の表面を手で軽くなでてみると、白い粉が手にびっしりと付いてしまいます。
これは「チョーキング現象」と呼ばれる現状で、外壁表面の塗膜成分が破壊・分解されたことにより発生している現象です。
外壁表面の保護機能が低下している状態になるため、サビやくすみ、苔の発生等の劣化が発生・進行しやすくなります。
部分的に金属サイディングにサビやコケ汚れが発生している箇所も見受けられます。これらが拡大すると外壁材の交換が必要になってしまう可能性があります。


破風・鼻隠し

築20年以上経過している年代の建物では木製の破風・鼻隠しが使用されているケースが多いです。新築時は防腐剤や防水塗装が施されているため雨に対する耐性もありますが…
防水効果が切れた木製の破風・鼻隠しは水分を吸収するようになり、吸収→乾燥しながら木材が収縮を繰り返えします。その結果、木部に割れ目が発生したり、スカスカになって強度が下がったり、劣化現象が発生し始めるのです。

雨樋(あまどい)

樋本体や固定バンド部分に色あせが目立ちます。
一部サビが発生してしまっている箇所があります。

軒天

屋根部分の軒天の写真です。顕著な劣化は確認できません。
庇周りの軒天の写真です。こちらもキレイな状態と言えるでしょう。


戸袋・雨戸

雨戸を格納する「戸袋」の枠部分はアルミニウム製のため目立った劣化はみられませんでした。
ただ、戸袋の表面は金属部分はチョーキングが出て来ています。屋根・外壁の場合と同じで劣化のサインになるので、この部分は塗装を施した方がいいでしょう。


要防水シーリング部


外壁と玄関ドア枠・窓枠・庇などのつなぎ目部分にはどうしても隙間が発生してしまいます。
その隙間から水が回り込むと、建物内部の構造にダメージを与えてしまう恐れがあります。
建設用語では、隙間部分に防水材を充填し、漏水を防止するために行う防水工事を「シーリング」と呼んでいます。

庇の側面のシーリングはひび割れが発生しています。もはや防水機能は失われているため、この部分から水が入り込めば庇の内部から劣化が進行してしまいます。
鈴木様邸では、庇上部にシーリングが施されていませんでした。庇の勾配があるため落ちた雨水が直接流れ込むことはありませんが、防風雨が吹き荒れるような時は水が浸入してしまいます。


住宅点検結果の総表

今回点検させていただいた箇所で特に気がかりなのは、「屋根」、「庇(ひさし)」の劣化状況です。
これらの箇所はサビやくすみといった劣化状況が顕著に現れています。
現在は塗装を行うことで対処・保護を行うことが可能ですが、これ以上放置をすると塗装以上に大掛かりで費用のかかる「交換・修理工事」が必要になってしまう恐れがあります。
