塗料・材料の知識

塗料の油性・水性による仕上がりの違いを解説

水性塗料と油性塗料って何がどう違うものなの?
塗料を薄めるための希釈液が「水」か「溶剤」かの違いで塗料の水性・油性が決まるのですが、塗料の性質にも違いが出てきます。外壁塗装をする上でもこの違いを理解しておくことは大切なので、ポイントを解説させていただきますね!

【POINT①】水性塗料は鉄・金属部の塗装には適さない

水性塗料は鉄・金属部に対しての密着性が弱く、本来の耐久性を発揮することが出来ません。そのため、ほとんどの水性性塗料で塗装可能な箇所は「窯業サイディングボード、コンクリート・モルタル」等、水性塗料との密着性が良い箇所に限定されています。

 

水性塗料は鉄部への密着性が悪い

下の映像は、ラジカル水性塗料(ニッペ パーフェクトトップ)を鉄板に塗布した際のものです。相性の悪い鉄部に水性塗料を塗布すると一体どうなるか、実際に確認してみましょう。

水性塗料の仕上り例

金属板に外壁塗装でよく使用される水性ラジカル塗料(ニッペ パーフェクトトップ ND281色)をローラー塗りで塗布していきます。

 

塗装完了後、乾燥した状態の写真です。一見キレイに仕上がっているようにも見えますが…。

 

近くで見ると、水性塗料と鉄部の密着性が弱いため、ローラーが塗料を引っ張り、まだら模様になってしまった跡が残っています。

実際の塗装ではまず鉄部に「下塗材」を入れて塗料の密着性を高めるため、ここまで極端に仕上がりが悪くなることはありませが、「水性塗料は密着性が悪く鉄部にNGである理由」がお分かりいただけたと思います。続いて、油性塗料で鉄板に塗装した場合の仕上がりの違いをご確認いただきます

 

油性塗料は鉄部にもしっかり密着

 

油性塗料の仕上り例

今度は金属板に油性ラジカル塗料(ニッペ ファインパーフェクトトップ ND281色)をローラー塗りで塗布していきます。

 

塗装完了後、乾燥した状態の写真です。水性塗料と違い、油性塗料が金属部にしっかりと密着しムラなく仕上がっています。

 

近くで確認するとその違いの差は明らかです。油性塗料は金属部にもしっかりと塗膜が形成されます。

油性塗料には「レベリング調整」という機能が備わっていて、塗料の乾燥が進むにつれ、塗布箇所と塗料を均一に密着させる効果をもたらします。レベリング調整効果によって油性塗料はどんな場所に塗装をしても密着が良く仕上がりが良くなります。

近年は「水性塗料の耐久性能向上」が話題になっていますが、水性塗料は塗装可能な箇所が限られています。部分的にではあっても外壁塗装の現場では、現在も油性塗料が大活躍しているんですよ!

 

【POINT②】水性・油性塗料ではつやの現れ方も異なる

水性・油性塗料の仕上がりの違いは「つやの現れ方」にも影響があります。

上の写真は日本ペイントが製造した見本板で、どちらも「ND-281色」という同色で作成されたです。水性塗料の場合、塗膜にハケ跡やゆず肌模様が出やすいため光の反射角度が変わってしまうため、同じ色でも見え方にも違いが出て来てしまっています。

ただ、外壁塗装のケースでは、多くの住宅ではもともと凹凸のあるデザインの外壁が採用されていることが多いです。塗装面がデコボコ柄の場合、使用する塗料が水性でも油性でも仕上がりに差のに影響はしないので、水性・油性塗料の違いは問題になりません。

一方、平坦な金属サイディングや鉄部への塗装は注意が必要です。水性塗料では刷毛目やゆず肌模様が出やすく、キレイな塗膜が形成されにくいため、平坦な面には油性塗料を使用するのが好ましいと言えるでしょう

 

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【POINT③】耐久性は油性塗料>水性塗料

塗料の性質でここまで金属への密着性が違ってくるんですね!他にも油性・水性で違いが出てくる部分はあるんですか?!
実は、塗料の耐久性能にも影響してきます。同じ種類の塗料で油性・水性塗料がある場合、油性塗料の方がより優れた耐久性を持っているんです

時々、「シリコン塗料よりウレタン塗料の方が性能が良い!いまどきウレタン塗料なんて劣悪な製品だ!」という先入観を持ってしまっているお客様とお話をすることがあります。

その意見の全てが間違っているわけでは無いのですが、最初に説明した油性塗料の優れた密着性により、同じ樹脂を使用している塗料の場合、耐久性能は油性塗料>水性塗料になります。

この考え方に当てはめると、水性シリコン塗料と油性ウレタン塗料は変わらぬ耐久性能を有している、ということになります。

つまり、「シリコン塗料よりウレタン塗料の方が性能が良いかどうか」は、「使用する塗料が油性か水性か」といった部分を鑑みて、初めて判断することができるという訳なんです。

耐久年数 塗料名(水性/油性)
7年 水性ウレタン塗料
油性アクリル塗料
10年
水性シリコン塗料

油性ウレタン塗料
12年
水性ラジカル塗料

油性シリコン塗料
15年
水性フッ素塗料

油性ラジカル塗料

以前と比べて水性塗料の耐久性が上がってきているの事実です。しかし、先ほど説明したように水性塗料は適応下地が限られています。

知識が無い業者やいい加減な業者の場合が、耐久性能だけを売りにしてどこもかしかこも水性塗料で塗装してしまい、金属部分が数年後に剥がれてきてしまった…。等というトラブルも時々耳にします。

また、外壁塗装では塗料の耐久年数を合わせるために、「外壁は水性シリコン塗料、鉄・金属部が多い付帯部分は油性ウレタン塗料」等と、意図的に塗料のグレードを下げるケースも多いです。

「①水性・油性によって耐久年数が違う」「②水性・油性では適応する下地も違う」この2点をしっかり把握した上で、外壁塗装で使う塗料を選定・提案できる業者こそが信頼できる業者だと言えますね!

 

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【POINT④】水性塗料は低臭、油性塗料は有臭有害

なるほど…鉄や金属との相性も良くて、耐久性も優れているなら、油性塗料をメインで使っていった方がトラブルは少なくて済みそうですね!
その通り…と言いたいところなのですが、油性塗料にもデメリットが存在します。それが、「油性塗料の刺激臭」と「健康に悪影響を及ぼす可能性がある」という点です

油性塗料は独特な刺激臭があり人体へ悪影響を与える可能性も

冒頭にも説明した通り、塗料の希釈液が「水」「溶剤」かの違いで塗料の水性・油性が決まります。

塗料は希釈液が発揮し空気中に蒸発することで、残ったその他の成分が強力な塗膜を形成します。水性塗料の場合は発揮する成分が「水」のため無臭で、蒸発した成分が体内に入っても人体に影響を及ぼすことはありません。

しかし、油性塗料は希釈液に「溶剤」が使用されています。溶剤とは別名「シンナー(有機溶剤)」のことで、刺激臭があり、蒸発した溶剤を口や鼻から吸収してしまった場合、人体に悪影響を及ぼす可能性があります。

外壁塗装においては、ほとんどの場合「弱溶剤」と呼ばれる有害物質と臭い可能な限り少なくした溶剤で構成された塗料が使用されますが、それでも人体への影響はゼロではありません。

特に、幼児や赤ちゃんは溶剤による健康被害を受けやすいとされています。油性塗料が蒸発し臭いと有害物質が発生するのは塗装直後~乾燥までおよそ1日程度ですが、小さなお子様がいる家庭では、油性塗料をメインにしての塗装は控えるようにしましょう。

家全体を油性塗料で塗装するとしたら、毎日どこかで油性塗料を使うことになりますよね。工事期間中は臭いや健康面で換気を控える等、気を使う必要がありそうですね
われわれ塗装業者も、お客様や周辺住民の迷惑にならないよう塗装面積が一番多くなる外壁部分は「水性塗料」を使用するように心がけています。外壁の材質が金属等でどうしても油性塗料での塗装が必要な場合を除き、「水性塗料が使用可能な箇所は全て水性塗料で塗装するのが原則」です

 

【POINT⑤】水性塗料は工事単価が安い

水性塗料での塗装工事価格が安い理由

見積書を見てみると、同じ「シリコン塗料」でも水性塗料と油性塗料では金額が違うのだけど、その理由は何故なの?
そこに関しては、われわれ塗装業者の都合によるものなのですが…水性塗料はとても「扱いやすい」んです。油性塗料と比較して水性塗料には以下のようなメリットがあります。
  1. 道具(ハケ・ローラー等)の水洗いが可能
  2. 必要に応じた塗料の希釈も水道水でOK
  3. 溶剤使用による健康被害も無い

材料価格だけみれば、水性塗料と油性塗料の金額に大きな差はありません。しかし、水性塗料は現場で作業に従事する職人の様々な「手間」を減らすことができます。

油性塗料であれば希釈液としてシンナーを準備する必要も出てきますし、そういった手間や付帯費用分の金額が反映された結果、油性費用の方が工事価格が高くなってしまうのです。

つまり、水性塗料の方が工事費用が安いのは「耐久性が油性塗料の方が優れている」という要因以上に「業者にとって作業性が良い」という理由が大きいのです。

一言加えさせていただくと、耐久性に関しては水性塗料だからといって「安かろう悪かろう」ではありません。水性塗料であっても適切な使用箇所に塗装をすれば、油性塗料と遜色無い耐久性がありますのでご安心ください!

 

水性塗料・油性塗料の特徴まとめ

  • 水性塗料は鉄・金属部には塗装することができな
  • 水性、油性塗料ではつやの現れ方も異なる
  • 油性塗料の場合、上位グレードの水性塗料と同等の耐久性を持つ
  • 油性塗料は刺激臭があり、蒸発時に微量ながら有害物質が放出される
  • 水性塗料は作業性に優れているため工事費用が安い

 

水性・油性塗料ともにメリット・デメリットが存在することがお分かりいただけたでしょうか。基本的に塗装面積が多い外壁には「水性塗料」、雨樋や庇など、鉄や金属が含まれる部分は「油性塗料」等といった使い分けをすることが多いので、覚えておきましょう!

 

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