

「つや有り」と「つや消し」での仕上がりの違い
塗料つやは塗膜の光沢のことを指します。そして、「つや有り」と「つや無し」を判断する基準は光の反射です。塗料に光が差し込んだ際、100%の光のうち70%以上の反射があれば「つや有り塗料」と判断されます。

どちらもメーカーに製造してもらった塗板で、「ND-152」という同色の塗料を用いて塗装を施してあります。ですが、「つや有り」と「つや消し」ではここまで光沢が変わってくるのです。
つやの種類応じた光沢の違いを並べて比較
塗料のつやは「つや有り」、「つや消し」以外にも、光沢度に応じて「3分つや、5分つや、7分つや」と、全部で5種類の分類がされています。百聞は一見にしかず、ということで、実際に全部のつやの種類を同色で並べてみたので、ご確認してみてください。

「つや有り」がオススメな理由


工事金額が安くなる
上記の図のように、塗料は「樹脂、溶剤、顔料」の成分で構成されていますが、現在、日本における大手塗料製造メーカー(日本ペイント、関西ペイント、SK化研)は塗料の光沢を決める顔料の仕様を、ほぼすべての製品で「つや有り」として製造しています。
つまり、「つや有り」は塗料の標準仕様であり、「つや有り塗料」→「つや消しに」するためには、つや消し剤を調合する手間が発生してしまいます。
「つや有り塗料」を標準仕様のまま使用する方法が、余計な費用が掛からずに工事費用を安くすることが出来るのです。

つや消し剤により塗料は性能が落ちる
「つや有り塗料」→「つや消し塗料」にするためには、フラットベース等のつや消し剤を塗料に調合する必要があります。
つや消し剤を混ぜることによって、本来ツルっとした光沢を持って仕上がる塗料の塗膜が、ざらついたデコボコした表面の塗膜に変わります。その形状が光を分際反射するため、つやが消えて見えるようになります。
しかし、つや消し剤は塗料にとって「不純物」です。添加剤が混ざれば混ざるほど塗料が希釈され、薄まり、塗料本来が持っていた性能・質感が変わってしまいます。

水性・油性でも「つや」の表れ方が異なる
また、同じ「つや有り塗料」でも、水性・油性は性質の違いによって、つやの仕上がりが異なってくるので注意が必要です。[/st-kaiwa-298]
上の写真は日本ペイントが製造した見本板で、どちらも「ND-281色」という同色で作成されたです。水性塗料の場合、塗膜に刷毛目やゆず肌模様が出やすいため光の反射角度が変わってしまうため、同じ色でも見え方にも違いが出て来てしまっています。
塗装を施す面がデコボコした柄になっている場合、水性・油性塗料でもつやの仕上がりに違いは出にくいですが、平坦な面に塗装を施す場合は水性塗料ではキレイに塗膜が形成されにくいため注意が必要です。

例外として「軒天」はつや消し塗装がオススメ

赤枠で示した軒天部分まで「つや有り塗料」で塗装を施すと、建物全体が光沢でテカテカし間延びした印象になってしまいます。
そのため、軒天部分だけ「つや消し塗料」を使用すると、軒天部分がマッドで落ち着いた雰囲気になり、外壁の光沢との差で立体感のある格好良い仕上がりになるのです。
実はそういった背景もあり、日本ペイントの「ノキテンエース」はじめ、大手塗料製造メーカーからはつや消しが標準仕様の軒天専用塗料が販売されています。
ですから軒天だけは例外として「つや消し塗料」で塗装をすることをオススメしています。

塗料の「つや」 特徴まとめ
- ほとんどの塗料の標準仕様は「つや有り」
- つや消し調整すると塗料の性能は低下する
- つや消し調整をすると材料費が高くなる
- 同じ「つや有り」でも水性、油性で見え方が異なる
- 軒天は「標準つや消し塗料」での塗装が推奨される
